福岡県森林林業技術センター
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平成17年度発表会
■流量データから見た森林の水源かん養機能
1 はじめに
森林の公益的機能にはいろいろありますが、その中でも水源かん養機能は重要な機能のひとつです。これまでは、主に土壌の浸透能と貯留能に関して研究を行ってきました。
この結果、
1
森林の浸透能は草地、農地等より大きいこと。
2
針葉樹・広葉樹間の差はあまりないこと。
3
降った雨を土壌へ浸透させるために、土壌表層を保護し浸透能を維持する必要があること。
を明らかにしてきました。
また、貯留能についても推定を行ってきました。
しかし、森林の水源かん養機能を明らかにするためには、受け皿である森林の貯留能だけでなく、森林から出てくる水の量からも評価する必要があります。
そこで、県下主要ダムやセンターで測定している量水ダム(写真−1)のデータを用い、森林から出てくる水の量について検討しました。
2 解析方法
解析には福岡県下の主要な12ダムと、添田町大藪に水土保全機能強化モデル事業で設置された6カ所の量水ダムで測定した日流量を用いました。
まず、1年間の日流量を多い順から並べ流況曲線(図−1)を作成しました。流況曲線からは一般的に、豊水流量が少なく、低水・渇水流量が多い方が、また、渇水/豊水比が低い方が水源かん養機能が高いと考えられます。
今回は、これらの水文値と森林や地形、気象環境との関係について検討しました。
3 結果
1)県下主要ダムでの解析
1975年〜1998年までのデータでは、1年間の降水量に対する流出量の割合(以下流出係数とする)は、年数の経過とともに低下する傾向が見られた流域と変化がみられない流域がありました。
一般的に、流出係数の低下は森林の整備が進むとともに樹木が成長し、葉からの蒸散量(消失)が増加するためと考えられます。渇水流量や渇水/豊水比では、明確な経年変化がみられませんでした。
また、傾斜、露出度などの地形要因や広葉樹面積率、林齢などの森林の状態と渇水流量、渇水/豊水比についても明確な傾向は見られませんで した。年降水量と流出係数や渇水流量は正の相関が見られました(図−2)。
このことから、森林からの水の流出は降水量に大きく依存していると考えられました。
2)添田の量水ダムでの解析
流出係数は6流域とも年数の経過とともに減少傾向を示しました。設定時に1流域では幼齢林が主体であったこと、他の5流域では複層林施業のための間伐が1983〜 1988年まで行われたことから、当初葉量が少なく蒸散量が少なかったものが、樹木の成長により葉量が増加したため、蒸散量が増加し流出量が低下したためと考えられました。
次に、洪水流量の指標として最大流量から35日流量までを積算した値の経年変化をみると、バラツキは大きいが5流域で減少する傾向が見られました。これは、降水直後の流出量が低下しており、森林整備により洪水緩和機能が増加したためと考えられます(図−3)。
また、低水流量から最少流量までを積算した値の経年変化をみると、この積算値の年間の流出量に対する割合はいずれも増加傾向が見られました。間伐・枝打ちにより水源かん養機能が増加したかは、さらに検証を進める必要があります。
4 残された問題
ダムなどの広い流域では、様々な森林や地形が混在しているため、森林と水の流出量の関係は明確ではありませんでした。現在、森林施業の影響を明らかにするため、狭い流域で2002年より間伐の強度を変えて森林の影響を測定中です。
このような解析は今後も長期間のデータの蓄積が必要であるとともに、互いに隣接し、より狭い流域で施業条件を変えて測定する必要があります。